音の中腹にバルーンを挿入して補強。左右にサイドカーを埋め込んでドライブさせたようなマスタリング。イエモンは音の遍歴、移り変わりがそれなりに激しいバンドなので、このマスタリングはなかなか楽しい。
で。ベスト盤は、並べられた曲目を見てわかったような気になってはいけないわけだ。とはいっても、やっぱりこのベスト盤に関しては、ファンであればあるほど買わないだろうなぁと思わせる選曲。ある意味非常に正しい選曲だし、このアルバムは、今後、新たにこのバンドを知ることになる人にとっては、よい踏み台になるのは間違いないだろうけれども、でもファンであった (もちろん今でもファンだ) 自分としては、やっぱりオリジナル盤の完成度が気になって気になって仕方ないような。この音で『SICKS』を再発してくれたら、思わず買ってしまうだろうな。
うん、だから、ベスト盤としては本当に正しい選曲だと思うのだ。で、どうせならこのベスト盤に収録されている音質と、パーツとしてばら売りされた楽曲の配置具合とを経験した上で、オリジナルアルバムを聴く際に、その感覚をフィードバックさせていけばいいと思うのだ。
