音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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Polarisライブ (ゲスト:bloodthirsty butchers) / リキッドルーム恵比寿

僕にとってはあり得ない対バン。新生リキッドルームの音響と、この二つのバンドが向かえるPA技術にいささかの不安もなく楽しむことが出来た。これ、大事。

去年は一度もライブを観る機会のなかったブッチャーズは、音に色が増えたことに驚いた。考えてみたら田淵ひさ子を迎えてのライブは一度、しかもまだ彼女がゲストだったときの音しか体験していない。単にメンバーが増えたからというだけではなく、音を色と捉えた上での光の重ね方(当て方)が多面的になったような印象。正面方向への立体感はもともと盤石なものがあったのだけれども、表面積を広げる凹凸がさらに追加されて複雑化したような。

初っ端4曲がすべて新曲(※)、それ以降も『birdy』『荒野ニオケルbloodthirsty butchers』収録曲が中心という前向きなセットリストに、この上ない喜びと密度を感じる時間だった。ぜひともまたワンマンで見てみたい。

Polaris。坂田学が在籍するPolarisとしての最終ツアーということで、観客はいつにも増して、真剣勝負で音の全てを聴き取ろう、刻みつけようという意識が感じられた。曲が終わりきる瞬間まで、ステージの上も下も全く気を抜かない、抜くことを許さないような空気が心地よかった。ドラマ性を重視した曲のコンストラクション(全体としての構成ではなく、曲単位での構成という意味で)に、これまでのPolarisでは終わらせない手強さを見せつけられてみたり。

演奏のクオリティについて述べるのは野暮なこと。ステージングでのゲストも必要最小限に抑えられたメンバー構成でのライブで、剥き出しのPolarisを堪能することができた喜びは、何物にも代え難い幸せにつながっているわけで。Polarisがユルユルダブポップだなんて思いこんでいると、進行形で面白いことになっている音楽を見落としてしまうよ。

bloodthirsty butchersとPolarisという組み合わせについてだけれども、音を層と捉えることで、そこにある音以上の心理的作用を与えるという点では、両者ともに同じ平面上にいることを実感。特にライブで並び立てると如実に。もちろん、北極と南極といったような違いはあれども。だからこそ自分は両方とも好きなのだろうし。

※後日修正:最初の3曲は+/-のカバーとのこと。