キタキタキタキタ。事実上、今年1枚目の新譜CD、Only Love Hurts(旧:面影ラッキーホール)のデビュー盤にしてベスト盤。そのふざけたコンセプトもさることながら、解体状態のバンドメンバーをどこからかうまく拾い集めて、再レコーディングのベスト盤を作ってしまおうという意気込みがまた素晴らしい。今後の活動資金の調達に走ったか、aCkyさんよ。
中身はもう問答無用の、旧面ラホの上澄みだけを取って、それが逆に酷い臭いを発しているという選曲。このバンドを受け入れられるかどうかの試金石として見事に成立していること自体が素晴らしい。オリジナルアルバムだからこその幅広い腐臭もいいのだけれども、おいしいとこ取りの腐臭はそれこそ臭いのきついチーズを食わされているような気分になって、非常に不快。その不快感を燃料にすることが出来るかどうかが、このバンドを好きになれるかどうかの分水嶺なのだろうが、まさか自分がその分水嶺の頂点でバンドへの愛を叫ぶことになるとは思ってもみなかった。
すぐに飽きるだろうと思っていながらも、結局はオリジナルアルバムを全て集めてしまうほどに愛してしまったし、強引なレコーディングをしたようなアレンジが施されたこのベスト盤もまた愛することが出来る。そんな自分愛を再確認することが出来る、なんとも痛快な作品よ。決して人に勧めることの出来るバンドではなく、それこそ、雑誌の微エロコーナーをこっそり立ち読みしているような気分で接するのがふさわしいバンドではあるけれども、でも、そういった存在もまたヒットチャートのカウンターとして存在するのだということを、十分に理解して、このバンドへの投石は止めにして欲しいと思う。いや、誰も投石するどころか、見向きもしないだろうが。
ああ、このバンドを知ることが出来てよかった。好きでよかった。このベスト盤を聴いたら、ここから残念ながら漏れてしまった佳曲の数々に再び触れる旅に出よう。本作はあくまでもショーケース。深い不快感はまだまだ沢山残されている。それを是非知って欲しい。日本の音楽界の徒花として、今後もまた再び咲き直して欲しい。ありがとう、面影ラッキーホール。これからもよろしく、Only Love Hurts。
- アーティスト: Only Love Hurts
- 出版社/メーカー: P-VINE RECORDS / O.L.H.
- 発売日: 2015/01/14
- メディア: CD
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