まさかの高橋幸宏の訃報に触れる。絶句。
このアルバムは高橋幸宏ソロワークスの研ぎ澄まされた感覚を、ようやくこの時期にして知らされた作品。一時期溺愛しておりました。今でもたまに引っ張り出して聴く音源です。
静謐と整然。その極みにある美しいとしか形容のしようがない作品です。ヘッドホンやイヤホンなど、自分の世界に閉じこもりこれを聴くと、自分が厳寒の針葉樹林に放り込まれたかのような、そのような怜悧な世界に触れることの出来る作品でした。
思えば本作がリリースされた2006年は、その後の自分が自分の中へと閉じこもっていく人生における長い暗黒期の幕開けだったのですが、その時期にこのアルバムを好んで聴いていたからこその、当時の自分の研ぎ澄まされた感覚と波長が一致したのでしょう。
今改めて聴いてみても、細かな音の一つ一つに神経が張り巡らされているような感覚をおぼえます。その細やかさこそが高橋幸宏の、自分が考えるなりの真髄だったのでしょう。
ご冥福をお祈りします。