久しぶりの新作リリース。まさか日本国内でハイレゾ販売があったとはね。見つけた瞬間に小躍りして購入。
梁静茹(Fish Leong)を知ったのが2005年ですから、あれからもう18年も経ったのですか。
あの日あの時あの場所で、ではないけれども、旅行で訪れた南京の、その滞在していたアパートで、たまたま気まぐれにテレビをつけていなければ、Fishの存在を知ることもまずなかったわけです。その翌日に現地のCDショップに飛び込んだ自分、グッジョブ。人生で5本の指に入る、誇れる仕事ではないかと。
まぁ、そんなことはどうでもよく。
ボーカルの色により一層の切なさを携えてきましたね。中国語のヒアリングなどしようがなく、歌の持つ情感で全てを察するしかないのですが、その「届かないもどかしさ」が聴き手である自分にも情を誘うわけであります。
今作もまた基本的にトラックの音数を抑え気味にしているので、ボーカルの艶色がぐっと引き出され、そこに耳が引き込まれます。この媚びの薄いボーカルに、今の私であっても恋に堕ちてしまうような錯覚をおぼえます。
もしこの声のカラーで日本語で歌われていたとしたら、果たして自分は恋に至っているだろうかと考えてみると、ポップスにおける言語は本当に重要なファクターであるなとも。
と、このように、可愛らしい女性から大人の女性に至るまでの時間を、リアルタイムで共有出来ることをありがたく思いますよ。歌い手の成長を長い時間をかけて見届けられることは、何物にも代えがたい時間の贅沢な使い方ではありませんか。