吉井和哉20周年記念ベスト盤…本当にベストなのか、これ？と言う説は置いておいて。
クサクサしてくる楽曲だらけなのだけれども、これこそが吉井和哉の吉井和哉サイドにある楽曲を集めたセレクションなのだろうな、と。何を言っているか分かります？いや、分かるよね。吉井和哉の陰陽と言った二分ではなく、吉井和哉の吉井和哉サイド。うん。そう言うこと。
全体的にやる気を抜いたボーカリゼーションがまたたまらなく素敵で。これぞ吉井和哉。THE YELLOW MONKEYでのボーカルとは異なる、ソロにおけるこの暗くダルいボーカルもまた魅力的なのです。
個人的には「雨雲」がセレクトされている段階で、全曲聴き通す価値がありました。まさかこの曲がしっかりとピックアップされているとは。
詞、朴訥としたメロディとボーカル、今回収録されたミックスでよりシンプルさを顕わにしたアレンジ。この曲が持っている人の心にある寂寞がより一層引き立っている。水墨画の境地にまで達していたのではないかと。
これは彼が作ってきた楽曲の中でも白眉だと思っているのです。なかなか陽の当たりにくい楽曲ではあったと思うのだけれども。
これは吉井和哉がこの20年間で右往左往してきた様を美しく集約させた「ベスト盤」であると認識するに至ったのであります。
