音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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The Beatles 1962-1966 (2023 Edition) & The Beatles 1967-1970 (2023 Edition) / The Beatles (2023 96/24)

昨晩からずっとこれを聴いている。今、2巡目。

ビートルズについては、これまでもほぼほぼベスト盤でしか聴いていない。かつ、青盤ですら通して聴くことはあまりなかった。

ロックの衝動と再構築に意欲的に突き起こされていたのだろう時代から、「ビートルズ以降」となるロックの基礎を数多作り出した時代まで、とにかく種明かしがここには大量に存在し、聴いていてニヤリとするフレーズ、演奏、それだけでは括りきれないほどの瞬間があちこちに散りばめられている。

かつてはろくに聴くことも出来なかった青盤でさえ、今の自分になってみると、聴いていることが楽しくて楽しくてたまらないほど。

様々なことを考えながら聴きつつも、考えを巡らせることが馬鹿らしくなってくるほどに、ここに収録されているのは「礎」の極みとなる楽曲だらけなのだと言うことに気付かされる。

そしてもしビートルズがイギリスから生まれてこなかったら、今のロックの世界地図、勢力図のようなものも、今あるそれとは全く異なるものとなっていたのだろうか、とも考えが及ぶ。イギリスと言う国でロックを奏でる、奏でてきたミュージシャンは、どこか心の中でビートルズと言う存在を誇りに思っているのだろうか、などとも。

呆れるほどに当たり前のことなのだが、ビートルズのカタログから凝縮されて選曲されたこの赤盤・青盤は、どこを切り取っても名曲だらけで気が遠くなってくる。数十年にわたって活動をしてきたバンドではなく、60年代を中心に活動した、今となっては半世紀以上も過去にいたバンドであるにもかかわらず、2020年代を生きている自分の耳に訴えかける力が尋常ではないのは、「名曲を奏でる」と言うミュージシャンにとってある意味当然、一方でそうそうかなわない力、でもかなえてしまった圧倒的な力を見せつけてくれるからなのだろう。

あまりにも有名なこの赤盤・青盤の「2023エディション」はきっと多くの論争をまた引き起こすのだろう。いや、きっともうそれは起きているのだろう。ミックスについて、リマスタについて、選曲について、新曲について、等々。そのような本質を打ち抜かないノイズは一切無視し、今の自分はただただここに収められた曲を前にして、楽しく打ち抜かれるのみ。

音楽が持つ力。その一端、いや、多くの要素がここには詰め込まれていると感じることは、これを受け容れて聴く人に共通した感覚、印象だろうから。

『ザ・ビートルズ 1962年~1966年』 2023エディション (通常盤)(SHM-CD)(2枚組)『ザ・ビートルズ 1967年~1970年』 2023エディション (通常盤)(SHM-CD)(2枚組)

これを聴きながら「数日間は何も書かずにひたすら考えをため込もうかしら」などと邪なことを考えていたのだけれども、やっぱり自分の性分からしてそれは無理な話でしたね。