このような雰囲気のノラ・ジョーンズを理解せずにここまで来てしまったな。
ポップスと言うにはやや異形で、ジャズには程遠く。完全にノラ・ジョーンズの世界としか言いようがない、不思議な世界観。どこかおどろおどろしい雰囲気までをもまとった音楽。
リアルタイムでこれを聴いた自分は、受け入れるキャパがそこにないことに気がつかないうちに、やや拒絶する方向でいたのかもしれない。今となってみては、何の抵抗もなく彼女の一面として聴き通すことが出来ているわけで。
ノラ・ジョーンズの軌跡、その功罪の一つは、デビューアルバムがあのアルバムであったことに尽きるのかもしれない。聴き手である自分が、いや、もしかすると数多くの聴き手が、あのイメージで頭の中を固めてしまったのかもしれない、と。