一応それなりに全てのアルバムを追いかけてはいたのです。ノラ・ジョーンズ。
ところが、枚数を重ねるごとに、その制作プランの意味合いが見えづらくなり、向かう先がわからない、何をどう表現したいのかが見えてこない、と言った状態が続いておりました。
今作もプロモーションに乗せられるのを諦めて、情報のすっぴん状態で聴いてみたわけですが。
あら。
いい。
ノラ・ジョーンズが持つボーカリゼーションのはすっぱな部分が大きくフィーチャされ、バンドもエッジィ。シンプルながら、十分に練られたトラックは退屈さの微塵も感じさせない。
切れ味の鋭いノラ・ジョーンズがここにいるではありませんか。
これを「のびのびと歌うノラ・ジョーンズ」と表現するのはやや筋違いな気がするので、「着地点をようやく見つけたノラ・ジョーンズ」と表現するのが最もしっくり来るかと。
身も蓋もない表現をするならば「これまでよりも断然格好いいノラ・ジョーンズ」。
もっとひねった表現をするのであれば「ノラ・ジョーンズであって、ノラ・ジョーンズでない」。
とにかく、フリーダムなのだけれども落ち着く場所に落ち着いたノラ・ジョーンズを楽しむことができますよ。
今作、ようやく心の底から納得の行く1枚になりました。