音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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青空百景 / Moonriders (1987/2006)

ううむ。これはかなり無理をしているように感じられるアルバムなのだが、そうでもないらしい。

それでも聴いている方からすると、折檻されて疲弊しきった男たちに、鞭打ちながら「笑え」と命じているような雰囲気が漂ってくるのだよな。笑っても打たれる、笑わなくても打たれる。ある種の閉塞感のどん詰まりにいるような雰囲気が感じられる。その要因は何だろう。

『マニア・マニエラ』が事実上の発売停止になって、あの中にあったアイコン「薔薇」というものへの求心力に引きずられすぎたのかもしれない。今作ではこれといったアイコンは見当たらず、ただひたすらにポップスを演じようとしている姿がうかがえるのだが、やはりどこかしら無理をしているような気がしてなら無い。

青空百景と謳っているが、その青空は実は塀の中の青空なのではないだろうか。一輪の薔薇を解体し尽くす勢いで見つめながら作業に勤しんだ者達が、ある日ふと気がついたら、何もない青空の下に放り出されていた。そのような雰囲気が漂うことに、どうにもこうにも気になって仕方がない。

聴き込めばまた違ってくるのかしら。