音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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infinite Resonance / fripSide (2022 96/24)

上杉真央、阿部寿世の両名を新ボーカルに迎えての、第3期fripSideの幕開け。

それまでのfripSideの歴史を踏まえつつ、ツインボーカルという新形態の導入で、心機一転、また新たなる活動へ向けてのリセットを図ったかのような新作を届けてくれた。

従来通りのたたみ掛けるような八木沼悟志メロディ&サウンドメイキングと、二人のボーカリストによる二様の存在を引き出すかのようなその新機軸的な楽曲の応酬で、新生fripSideを見せつける作品として仕立て上げられているとの印象を持った。

ボーカルの存在は1+1=2であると同時に、1&1&2の3パターンを有する。そのスタイルによる曲の構成も、今作から注目していくべきポイントなのだろう。

また、八木沼悟志のルーツがこれまで以上に表層化されているその作風もまた心境の変化なのか。長年J-POPにおける打ち込みサウンドを好んできてよかったと思わせる瞬間が随所に現われるのまた楽しくもあり。時折にやりとさせられるフレーズや音色が痛快の極み。

純正、純粋とも言えるfripSide流シンセポップからトランシーなナンバー、バンドサウンドを意識したかのような作品まで、八木沼悟志の手数の全てを惜しみなく披露しているところもまた、アルバムとしてのバラエティの豊かさに繋がっていると感じられた。

初めのうちは少々の不安もあった新生fripSideだが、ボーカルワークと音作り、その二つの柱がしっかりと噛み合い、支え合う、これからのfripSideの活動に大きな期待を持ってよいのだと思わせる作品にほっと胸をなで下ろしながら、ようやくここに感想を記すに至った次第。

これからも応援しますよ。

infinite Resonance