音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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2014下半期撰

さて、毎年恒例の「20xx撰」であります。今年は上半期で一度ひとまとめにしたので、今回は下半期でひとまとめ。以下、順不同で羅列。

Giuliani/Castelnuovo

Giuliani/Castelnuovo

クラシックギターと室内楽団とがケンカをしあわず、上手い具合に一つの音楽を作り出すことに成功している。SACD化のふくよかな音質もあって、非常にリッチなギター協奏曲を楽しむことが出来た。手元にあると幸せになれる1枚。

Sonic Highways

Sonic Highways

Foo Fightersが描き出す現代アメリカの王道ロック。奇をてらうことなく、それでいて地味な作品にも陥らず、「今の自分たちを見てくれ」と大きな声で主張している作風に、前作に引き続きノックアウトを喰らった。

No Fixed Address

No Fixed Address

キラーチューンこそはないものの、アルバムの流れとして今のモダンロックの粋を極めた作品として楽しむことが出来た。ハイレゾであることも、バンドの持つパワーを引き出すことに成功した要因になったのでは。

Rocks!

Rocks!

これまでもロックナンバーのカバーには沢山トライしてきたFried Prideが、本気でロックに取り組んだ、非常にイカす作品。どんな楽曲であっても自分色に染め上げるFried Prideの本領発揮の場を久しぶりに見た感あり。これがJazzにカテゴライズされるのはもったいない。

infinite synthesis 2(初回限定盤CD+Blu-ray)

infinite synthesis 2(初回限定盤CD+Blu-ray)

タイトルを見た瞬間に「これは前作を明らかに超えてくるぞ」と予感させた。蓋を開けてみれば正にその通り。fripSideだからこそ作り上げることの出来る、現代J-POPでは貴重なデジタルサウンドが、ここまでの3枚のアルバムを経てある種の完成に至った。八木沼悟志の手腕がぐんぐん成長していることがよく分かる1枚に。

夕日信仰ヒガシズム

夕日信仰ヒガシズム

一時は見限りつつあったが、今回は根底にロックという武器を得て、秋田ひろむの詞と声の世界はまた一段大きく登り拡がった。どこまでも絶望、そして時に感傷。そのバランスがようやく一つの作品の中に溶け込むようになり、聴いていて完璧なカタルシスを得ることが出来た。

歌で逢いましょう

歌で逢いましょう

まずはDSD128の音質に圧倒されるのだが、何よりもこの人の歌唱力の素晴らしさを再発見できる好カバーアルバムだった。曲に合わせて演じる歌心の引き出しの広さ、そしてカバー曲に負けないオリジナル曲のたおやかさに心を癒やされ、揺さぶられた。

WALL

WALL

初期の2枚こそは「ああ、カレッジ向け音楽だな」という印象を受けたと同時に、もしかしたら化けるのではないか?との予感もあった。そして今作でどこかクラブ風でもある唯一無二のインストミュージックメーカーとして開花したといえる。ミニマルな編成から繰り出されるパワーは今後も成長し続けるに違いない。

Hurt

Hurt

歌われる世界はひたすらに絶望だというのに、かき鳴らされている音は力の源泉であるという二律背反な作風は、邦楽ロックではなかなか見られない貴重な存在。解散前の彼らの曲には全く惹かれなかったのだが、この作品には強力な引力が発生していた。また一つ好きなバンドが現われたという気分。

Violet Flame

Violet Flame

久しぶりに完全フロア仕様のerasureが戻ってきたと諸手を挙げて万歳を送れる、究極のエレポップ。短尺の曲の中で、いかに聴き手の意識を楽曲に奪わせるかということに苦心したのではないかと思わせる作り込みの細かさが光った。

レシキ

レシキ

これまでも「何となく楽しい音楽」という印象はあったが、今作ではボーカルのミックスが非常に良くなり、歌詞が明瞭に聴き取れることで、このユニットの真の楽しさがクリアに見通せるようになった。余計なことを考えずに、頭を空っぽにして楽しめる愉快な世界。

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「2014上半期撰」で「もしかして今年は当たり年なのか?」と書いたように、その勢いが全く止まらなかった一年。とにかく聴き応えのある作品が多く、一つの作品をじっくり聴き込むという時間が取れないほどにうれしい悲鳴を上げていた。

そして自分の音楽環境を大きく変えたハイレゾの導入で、旧譜を聴く時間を割くことも多かった一年。それらは今回は撰出しなかったけれども、存在としては非常に大きなものでした。

来年は今年ほど音楽を聴く時間を取れないだろうけれども、それでもやはり良い音楽、自分の心を豊かにしてくれる音楽に出会えることを楽しみにしています。