音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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PLASMA / Perfume (2022 44.1/16)

このところ自分の枝葉を切り落としていく作業が好きになってきた。生活することも聴くことも作り出すことも、どんどんと削ぎ落としシンプルになっていく。同時に振り返りもまた多くなってきた。

それは自分が何か次の局面に入っていることを意味しているようでワクワクさせられるものがある。もしくはここまでの人生は、ある意味において成熟していくための下準備でもあったのだろうと思えるほどに。

何かを成し遂げたのちに恐れずに潔く次のフェーズへと入っていくミュージシャンが好きだ。Perfumeのこの作品はそれを自分に強く認識させる結果となった。おそらく「Perfumeのまま」でいることは可能だったろう。だがそれを許さずに進化し続けている。そして同時に突き詰めていく。

中田ヤスタカが作り出し、三人が歌うこの音に飽いたと思っていた時期が確かにあった。再生回数を重ねないアルバムもあった。

今作は再生アルバム探しに画面をスクロールさせている指を止め、「これを聴くか」と自分内ご指名で聴くことが多い。聴く度にワクワクさせられる要素が凝縮されており、その正体をもっと知りたい、もっと解明したいがために再生回数を重ねている。

もちろん小難しいことは傍らに追いやって、純粋に「カッコいい、かわいい」とシンプルに喜んで聴くことだって可能だ。いや、むしろそう思いながら聴くことの方が多いように思う。これらの音がPerfumeにしては至極シンプルであり、そして自分もシンプルになり、上澄みの部分でものが作られ、そしてそれを同様に捉えるようになっているからか。

これまで課せられていたボーカルへのエフェクトが大幅に減ったこともそれを印象づけているのかもしれない。この文脈ならば「デコらない」とでも言えばよいか。飾る必要もなくなった。三人が歌えばPerfumeになると信じ、ありのままの姿をさらけ出しているようにも思えてくる。

それはアクションとしてはきっと勇気のいることであろう。固めきった鎧を外し、肉体だけで勝負する様にも似ている。そしてその状態でも戦っていけるのが現状の三人なのだろう。それはやはり至極シンプルで筋肉質だ。

シンプルになっていくことと無駄を省くことはイコールではない。身体に取り込まれた養分は身体と一体化している。糧としての過去だ。それらを取り除くのではなく、次の局面に挑むための力として利用する。それが人としての最もシンプルなスタイルなのかもしれない。シンプルであることと挑むことは同義だ。

PLASMA (通常盤)(特典:なし)