音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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世界が違ってみえる日 / 中島みゆき (2023 44.1/16)

「歌は3分のドラマ」と言われて久しいが、中島みゆきの新作の中にあるドラマは時に饒舌に、時に言葉少なに、それらを紡いでいる。

歌詞を見ずに聴く。染みる。

聴き取れなかった歌詞を見ながら聴く。語の壁の前に呆然と立ち尽くす。

曲とストーリーに添うようにして変化する歌声も、そのドラマの展開の豊かさに後押しをする。

中島みゆきには中島みゆきにしか表現し得ない世界が確実に存在している。そのような当然の事を思い知らしめるかのごとく、後頭部を鈍器でかち割られる。曲の数だけ手加減なく、強烈に殴られる。

過去の自分がその全てを受け入れることが難しかった中島みゆきの世界観を、このようにして受け入れている今がある。そこまでの時間の流れを他人事のように眺め、自分の人生も案外と果てしないものであったのかもしれないと思うに至る、サーガをサーガで導く世界がここにはある。

世界が違って見える日