中島みゆき5th。
突き放すことで人の背中を押す不器用さ。突き放した人の背中へと追いすがるが届かない手。
中島みゆき独自の二律背反や二面性とも言える歌詞世界が展開される。
日常世界に身を置くことで見えてくる自己描写にも磨きがかかってくる。それは舞台を固定した楽曲に顕著。
加えて独特のダンディズムというフィルターを通してシーンを描いた「狼になりたい」は白眉とも言える。中島みゆき独自の男性的な精神の屹立がここに明確に現われている。
暗い中島みゆきではなく、儚くとも強い中島みゆき世界の萌芽とも言える作品。