中島みゆき11th。
楽曲によってはロックテイストを強調し、シングル曲もアレンジを大幅に変えての収録。
シングル曲を別アレンジで収録する向きはその前からあったのだが、それはこの時代特有の、アルバムには別ヴァージョンを収録する傾向に従ったものなのか。
ところで、もうこれ以上他にコメントすることがないほどに「中島みゆき」は出来上がっている。
今現在と唯一異なるものを挙げるとすれば「人生の背中を押す楽曲を朗々と歌い上げる」中島みゆきはまだこの段階では現われていない、と言うことだけかもしれない。まだこの時点で1984年。今から35年以上も前の人物がそこにいるのだから、致し方ない。
しかし中島みゆきの歌詞にはロードムービースタイルがよく似合う。人生のロードムービー。それは哀しみに打ちひしがれる姿であったり、幸せを追う姿であったり、日々に疲れた人物であったり、今に何かを抱えている人にフォーカスを当て、フィルムに焼きつけて投影したロードムービーである。
そのスタイルが強靱であるからこそ、どんなアレンジを持ってきたとしても中島みゆきは中島みゆきとして背筋を伸ばしてそこで歌い続けている。