音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

当コンテンツではアフィリエイト広告を利用しています

ブラームス:交響曲第4番 / ザンデルリング, シュターツカペレ・ドレスデン (1974/1995 CD-DA)

苦い思い出の詰まったボックスセットより。

このディスクを買った当時、仙台に住んでいた自分は会社都合で福島は郡山まで1年強ほど新幹線通勤を強いられていたのです。ろくに業務も発生せず、ひねもす暇を潰すだけの仕事に心が蝕まれていくのを感じながらの生活でした。

その様な中、唯一の楽しみは郡山駅前のビルに入っていたタワーレコードに並んでいるCDを眺めること。そこでワゴンセールで売られていたのがこのボックスセットでした。その十数年後、まさかクラシックの沼に全身浸かることになるとは思いも寄らなかった自分は、何となくの直感でこれを手にしてレジに持っていったのです。

そして聴いたブラームスの交響曲第4番。ドラマティックな楽曲に得も言われぬ感動を味わったのでした。思えば心はすっかり病んでいたのでしょう。自分にとってもう二度と繰り返したくはない、戻りたくもない暗黒の時代です。

今さっき、CDラックを整理していたらこのボックスが目に止まり、これまた何となく聴いてみようと思った次第。

最新のリマスタではないので、音は正直なまくらです。でも、そのなまくらさが逆に音の柔らかさを醸し出していて、柔和な演奏が楽しめることを発見。派手ではないけれども、心温まる演奏ではないですか。

購入当時の自分では深く理解することも出来なかったこの音源も、今となれば貴重な財産。楽曲のなんたるかがそれなりに分かるようになりました。人はいつまででも成長をし続けるものだろうし、新しいことに足を踏み入れたならばそこに浸かることも出来る生き物。

少しばかり感傷的になったのだけれども、そのような思い出も蘇らせる音源なのですよ、これは。CDラック内の古参になりました。

Brahms: Symphonies No. 1-4: Classical Nav