音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

Artio CR-S1 インプレッション

不思議な定位を見せるイヤホン。

疑似的なライヴ感が頭の中で展開されると言えば、少しはこのイヤホンの本質を語れることになるだろうか。

まず、楽器間の分離がよく、音の見通しが非常にクリアになる。これに伴って、楽器の配置が明瞭になり、総じて定位がはっきりと見えることにつながっている。

ボーカルは基本的に(パンで振られていない限り)センターで定位。左右に振られた楽器がそれぞれのポジションを確立し、頭の中に気持ちよく配置されることによって、先に述べた不思議なライヴ感へと導いてくる。

ストリングスがたっぷりと含まれている音源では、ストリングスが頭全体を覆うような響きとなる。

ドラムのタムの定位もくっきりと現れており、音が回り込んで聞こえることに一役買っている。

また、全体的にハスキーな音に聞こえるのは、このイヤホンの音作りによるものなのだろうか。

しかしそれがイヤミな音になっているわけではなく、楽器一つ一つの音を粒立てることにも結びついている。

音作りそのものが、イヤホンの特徴を強く表現している作りにもつながっていると言える。

イヤホンとしての定位を極端にいじったチューニングと言うよりは、頭の中で音の配置を心地よくミックスさせる効果のあるイヤホンであり、これはこれでその雰囲気を味わうには十分にペイするイヤホンであると言える。

なお、付属のイヤピースはfinalのTYPE Eとのことだが、このイヤホンの特性をやや殺してしまう傾向にあると見た。低域がブーミーになってしまい、高域をマスクする弊害が出てしまっている。

交換するならば、全体的にフラットになるか、もしくはやや中高域に特徴のあるイヤピースを使うと、よりこのイヤホンの魅力を引き出せるだろう。

最後に。試聴音源にはCDリッピングによる坂本真綾『DIVE』を使用した。アコースティック編成ないし、ややアコースティック寄りの音源の方が、このイヤホンの真価を問うにはふさわしいとの判断からのこと。事実、打ち込み中心の音楽では、音が硬質に感じられ、やや不向きとの印象を受けた。

再生環境
DAP:FiiO M11 PRO SS
イヤピース:AZLA SednaEarfit XELASTEC