音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

当コンテンツではアフィリエイト広告を利用しています

恐ろしいまでの価格破壊イヤホン『intime 碧(SORA)』ファーストインプレッション

オーディオの師匠様からの次なる刺客は『intime 碧(SORA)』。実にお値段5,000円以下。ところがどっこい、こいつがとんでもない価格破壊者だったわけで。

以下に、このイヤホンの簡単なインプレッションを。あえて他のイヤホンとの比較は行ってません。このイヤホンだけで通して聴いた、ファーストインプレッションです。


Automatic [2014リマスタ] / 宇多田ヒカル (96/24)
とても5,000円以下のイヤホンとは思えないバランスの良さ。それは低域も高域も変に味付けしていない、ナチュラルな音質として現れている。低域の量感はまずまずなのだけれど、音を盛っていない分、相対的に中高域がスッキリとした響きになっている。音場も十分。全編にわたって鳴る浮遊系シンセの音が遠くで鳴る。ボーカルも存在感をしっかりと持っている。一発で「これは音を楽しく鳴らすイヤホンだ」と分かる素性の良さ。


Don’t Stop ‘Till You Get Enough (Single Version) / Michael Jackson (96/24)
イントロからして鮮烈に鳴り響くホーンセクション。硬質なパーカッションも耳に突き刺さることなく、曲の煌びやかさに華を添える。中域のエネルギー感も十分。音を全体的に聴かせると同時に、主体であるボーカルを明瞭に浮かび上がらせる。


Square One / Coldplay (96/24)
ベースラインはやや軽いものの、存在感は十分。とにかく音を細かく鳴らすことが出来るイヤホンであることが分かる。ギターも団子にならず、しっかりと音を分離させて聴かせてくれる。ロックチューンを聴いてもバランスが良いという印象は変わらない。


DEPARTURES (Album Mix) / globe (96/24)
ボーカルのハスキー感がしっかりと再現される。キックドラムを中心とした低域の量感も程よい。ハイハットの高域もやはり耳に刺さることはなく、むしろリズムを印象づける上で十分に役立っていることが分かる。この音源でもボーカルがしっかりと前に出てくるが、全体的なバランスが崩れることはない。音場が確保されているためか、音が平板になることもない。


ring your bell / Kalafina (96/24)
このイヤホンの最大の特徴は「スッキリ爽やか系」であることだと思うのだが、それは音に余分な色をつけずに、素直に鳴らすからこその印象なのだよね。なので、この音源でも団子になりやすいトラックを比較的スッキリと聴かせてくれる。かといって薄味にまで至らず、ストリングスの厚みは十分に確保されている。


Smells Like Teen Sprit (2011 Remastered) / Nirvana (96/24)
キックドラムの切れ味が鋭く、その分逆に低域が軽く感じられる向きもあるかもしれない。が、それが音のスピード感に繋がっているのもまた事実。この楽曲ならではのギターのハイエナジー感も十分に堪能出来る。楽曲を楽しく聴かせてくれる傾向はここでも顕著。


MEGALITH / T-SQUARE (88.2/24)
やはり低域は深さよりも鋭さの方に特徴を持ったイヤホンであることがよく分かる。鳴る音全てが切れ味の塊のようなこの曲であっても、しっかりと音が立ち上がり粒立ちも良い。サックスのドライブ感、エナジー感も十分。価格相応とは言わせない、それ以上の音を提供してくれている。


なんでもないや (movie ver.) / 上白石萌音 (96/24)
ハイレゾ対応を謳った安価なイヤホンが多く出回っている中で、このイヤホンは頭一つ以上抜きんでてハイレゾ感を伝えてくれる正当派と言える。それがこの音源でも顕著。飽和したピアノ、そしてストリングスが「この音源はハイレゾである」と言わんばかりに鳴り響く。トラックとボーカルのバランスが非常によろしい。


走る (Album Ver.) / 坂本真綾 (FLAC)
イントロのストリングスがとにかくブリリアントかつ鮮烈。アコースティック系のこの音源でも、このイヤホンの素性の良さは存分に発揮される。鳴るべき音も全て音として存在しており、音作りにおいて何も誤魔化していないことがよく分かる。トラックのリッチさと、ボーカルの艶やかさを両立させてこの価格ならば、さらに高価でもクセのあるイヤホンの存在意義は?と疑問に思うほど。


すばらしくて NICE CHOICE [2016 RMST] / Fishmans (FLAC)
さすがにFishmansのベースを明確に鳴らすのは厳しいが、不思議と物足りなさまでは感じられない。必要十分な音が鳴っている証拠。この音源ならではのドープな音作りをしっかりと表現する力量は見事。


Burnin' Up the Carnival / Fried Pride (FLAC)
パーカッションの定位がこの価格のイヤホンではあり得ない素晴らしさ。マイキングの意図がハッキリと汲み取れる。比較的後ろに下がりがちなボーカルも前にしっかりと立つ。ギターのピッキングもこのイヤホンの特徴であるスピード感を得て、際だったエッジを持って表現してくれる。


総括
リケーブルも出来ない、ボリュームもマイクも付いていない、ケーブルは細い、と、まるで一昔前の安価なイヤホンのような機能と見てくれなのだけれども、その実体は、実に音楽を素直に、かつ楽しく伝えてくれるイヤホンであるというのが、本機に対する率直な印象。

もちろん低域や高域をもっと派手に味付けしたイヤホンも存在する。そういったイヤホンの方が不思議と人気が高いのも事実だけれども、音楽を音楽としてストレートに楽しみたいのであれば、このイヤホンを差し置いて、他にはないでしょう。

スマホ付属のイヤホンよりももっと音楽を楽しみたいけれども、お金はそれほどかけたくない」と言うニーズがあるのならば、このイヤホンは正にその声にふさわしい存在であると断言出来る。実売価格5,000円以下でこの音質。そうそう出てこないでしょう。今まで聴き比べてきたこの価格帯のイヤホンの全てを否定する存在、それがこの『碧』。オススメ。