カヴァーソングでブイブイ言わせている方らしいことは結構前から知っていた。なんとなく、そう、なんとなく、足を踏み入れてはならないオーラを感じていたので、聴く機会を作らなかったのです。
聴いてみた。
…良いことを書ける自信がない。
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シンガーである以上、歌を歌うことは好きなのでしょうし、プロである以上、それよりも遙かに高水準な意識を保っているには違いないのです。
でもね。
中森明菜/加藤登紀子の「難破船」を果敢に(果敢に、だと思うのよ)カヴァーするその心意気は買った。でも、それは心意気だけで終わっているのだよね。
とにかく薄味。この曲をここまであっさりと歌い流されてしまうと、自分の耳を疑わざるを得ない。「今のでOKなの?あなたはそれでよいの?」とね。
そのようなモヤモヤを抱えたまま聴き進めていくと、ラストトラックの「シルエット・ロマンス」もあまりにも猪突猛進に駆け抜けて行ってしまわれた。最後の最後で困惑の極み。
アルバムを通して本当に色んなことを考えながら聴いてしまいましたよ。
「あの人のカヴァーの方が、もっと原曲に愛情が感じられた」
やら、
「歌の持つ色香がごっそり抜け落ちてはいないかい?」
やら。ネガティヴなことばかり。
自分流に換骨奪胎させてみたら、歌が持つ骨まで抜いてしまいました、とでも言えばよいでしょうか。
歌という「楽曲」に対する愛情が総じて薄味。歌いこなすと言うよりも、歌に歌わされている感が勝ってしまったのであります。この方自身がきっと持っているだろう歌心が見えてこない。
あーあ、言っちゃった。
大変勉強になりました。ごちそうさまでした。