音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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君繋ファイブエム / ASIAN KUNG-FU GENERATION (2003 44.1/16)

90年代ロックの継承から00年代ロックの礎まで。アジカンのメジャーデビュー作品は、そのようなロックの魅力が詰め込まれた作品だった。

冒頭、NUMBER GIRLに影響を受けていることを包み隠さずに提供される楽曲から、終盤、アジカン色に染め上げられる邦楽ロックのはしりになるだろう楽曲まで、この時期だからこそ生まれたのだろう、整然とした混沌がここに存在している。

エモロックなどと称されていた90年代のギターロックとパワーポップを両端に持ち、そこから独自の路線を切り拓こうとしたフロンティア精神の塊であったかのようなエネルギー感。ロックとキャッチーさを併せもち、歌心を持って届けられた楽曲たちは、デビューアルバムにして、その後のこのバンドの方向性を大きく決定づけることに成功している。

リアルタイムでそこまで俯瞰することは出来なかった自分にとって、このアルバムはどこか煮え切らない、中途半端を持った作品であるとの印象のまま今まで来てしまったが、その認識を大きく覆させられる作品であったことに気がつけただけでも良しとしよう。

君繋ファイブエム