音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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ABRACADABRA / BUCK-TICK (2020 44.1/16)

BUCK-TICKを遡っていくシリーズ第2弾。2020年作品。

ゴシックなのだけれども、どこかノスタルジックな雰囲気まで身にまとった耽美。

櫻井敦司はロック・オペラ・スターですよ。歌う演じ手としての気高く孤高な光を身にまとった唯一無二の麗人。

そのアクターのために最高の舞台をしつらえるバンドの、ソリッドなまでに意識の一致を見ているサウンドもやはりイカしている。

まいる、本当にまいる。頭の中がキラキラでクラクラしてくる。闇の中で光がスパークしているロック。

その闇もそんじょそこらにある生半可な闇ではなく、とことん塗り潰した漆黒で。光は目が眩むなどと簡単に言えるほどの光ではなく、目に焼き付いて二度と離れず取り除くことが出来なくなるほどの閃光。

BUCK-TICKの存在が不当に過小評価されていると嘆くその熱狂的なファンの気持ちも分かる。日本にいてよいバンドではないよ、これ。土着的に日本には存在し得ない美学なのだろうね。それでいて、西洋的な剣(つるぎ)が持つ重厚さでありながら、日本刀的な鋭さを持っている。

全身を舐め取られるかのごとく、耳に絡みつくサウンドと世界。ロックの官能美を高次元で演出し、またクオリティを保ち続けている存在。

これは、一度深みにはまれば、二度と出られなくなる沼か蟻地獄か。

ABRACADABRA [通常盤] [SHM-CD]

なんだかこのBUCK-TICK聴き倒しシリーズは、最後の最後まで同じ内容の事しか書けないような気がする。何を聴いても同じ、と言う訳では決してないのよ。何を聴いても囚われるのよ。どんどん囚われたいのよ。