バルトークのピアノ協奏曲を一人のピアニストの演奏で通して聴くのは初めてのこと。トータル感を持って聴いてみると、改めてピアノ協奏曲におけるバルトークはジャズであるな、と。
ジャズの定義などは無いに等しいのだけれども、私はこれをジャズだと感じるのでジャズなのですよ。
楽曲を通しての統一されたリズムが存在するわけではないが、ピアノのその音の運びがアバンギャルドかつ愉快痛快で、聴いている耳を飽きさせない。どのような展開を見せてくれるかの予測が全く不可能なところも、聴いていて面白い。
バルトークの時代からして、それは現代音楽に片足を突っ込んだものなのかもしれない。時折「こりゃドビュッシーかね?」などと思わせてみたり、「こりゃ打楽器ですよね」とツッコミを入れたくなったり、とにかく猫の目状態。想像を自在に持たせてくれる幅と懐の広さも興味深い。
以前から思っていることなのだけれども、これは子どもが喜ぶタイプのクラシック音楽ですよ。形を持ちながらも型にはまらない、柔軟性の高い、かつ高度な「想像音楽」なのではないかとね。