子どもっぽく語るならば「ピアノはここまで魔法の楽器になるし、音はキラキラしているし、なんかすごい」となるのですよ。
宝石箱をひっくり返したような、などという手垢の付いた表現もあるけれども、それがぴたりとはまるのがこの演奏なのではないかと。
上原ひろみがピアノを愛している以上に、ピアノに愛されているピアニストなのではないかと、ね。有機物と無機物との相思相愛の意思疎通、意志の環流がなされている素敵な演奏。ボンヤリと聴いても、ハッとさせられて集中して聴いても、必ずそこに何かが自分の意識の中に強く残される演奏。
それが上原ひろみの演奏なのではないかと。