音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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FiiO Q3 導入インプレッション

なんだかんだでFiiO Q3を休み休み12時間ほどエージングがてら聴き込んでみたので、インプレッションを記しておこうかと。簡単なレビューですね。

イヤホンにはSHURE AONIC4を、ケーブルにはEFFECT AUDIO Maestroの4.4mmバランスを使用しました。

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音源の録音特性を大きくいじらない、素直な出音。フラットとまでは言わないが、他に見るレビューで言われているほど、低音を盛った音であるとも感じられなかった。低域は上手に音を支える存在的に出ており、中高域に妙な張り出しもない。

聴き疲れの少ない、素性のよいヘッドホンアンプであるかと。イヤホンやヘッドホンの特性を、正直に引き出してくれる存在であるように思われた。

ロック・ポップスのボーカル物においては、男女のどちらが得意かと問われれば、やや女性ボーカル物に軍配が上がる印象。

女性は声の張りだしが伸びやかであり、男性はトラックに対してやや遠慮気味であるかのように感じられた。トラックとの立ち位置が並んでいるとも言えるか。

もちろんこれは音源によりけりな側面は大きいので、全部が全部そうであるとは言い切れない。おおよその傾向としてそうである、と言った具合。

ジャズ及びインスト物に関しては、年代やソースを問わず、上手に鳴らす印象。

このジャンルはそもそも録音やリマスタが優れているので、それを素直に引き出しているとも言える。

総じて、楽器やボーカルの存在が明確であるために、音の見通しがよく、聴き疲れが少ないことに繋がっているとも感じられた。

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DAP(FiiO M11 Pro SS)との比較についても記しておきたい。

何よりも驚いたのは、ソースによってはFiiO Q3の音場がDAPよりも広く感じられるシーンがあったこと。左右への音の展開が明らかに広い音源があり、DAPの登場と比較して約1年間の技術やら何やらの進化には、相当なものがあるのだなと感じ入った次第。

音の滑らかさにおいてはDAPの方が一枚上手(うわて)。音楽としての雰囲気作りが上手いのだろう。これはもしかすると投入されている部品もそうだが、音としてのチューニングによるところが大きいのかもしれない。

音が出る位置にも差が感じられた。音が存在する位置より奥から出てくるのがDAP。それよりもやや手前から出てくるのがQ3。この差は案外と大きく、聴感上のダイナミックレンジの差にも現われる。

ごくわずかではあるが、DAPの方が音としての層が厚く、また広い。Q3はそれに劣るというわけではないが、ややコンパクト。もちろん、そこまで同レベルであったら、DAPの存在意義が失われてしまうのだが。

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FiiOとしての音作りとも言える、DAPと共通した印象として、音楽として音を楽しめることが挙げられる。

切れ味が抜群によいがドライではないので、音楽としての聴きやすさに結びついているかの印象。それはメタルを聴いた際に特に感じられるものであった。メタルは音数が多く、また瞬時に消えなくてはならない音も多いのだが、それらの表現が抜群に良かった。

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最後にQ3を使う上で注意したいと感じられた点を一つ。

ボリュームの位置と出音との関係が非常に繊細。センシティヴと言ってもよいほどに、敏感に出音に反応する。動かしたか動かしていないかのレベルで、音の印象が大きく異なってくるため、ここは機器にも耳にも繊細な調整を心掛けたいと思った次第。

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率直かつ本当の印象をラストに。

「これ、本当に2万円の音なんすかねー!?」
「FiiOさん、こんなもん作っちゃって、諸々元取れるんすか??」
「本当に、自分にはもうDAPは必要ないや!」

以上。