70年代音楽、そして80年代&90年代音楽との間では、古典文学か現代文学かほどの差があると常々思っている。
70年代楽曲「-1-」を鳥山雄司監修としたのに対して、この「-2-」では今のミュージシャンでバックを固めている、そのコンセプトの明確さがこのカヴァーアルバムを成功に導いたとも言える。
こちら「-2-」のファーストインプレッションでの白眉は「AXIA~かなしいことり~」。この曲ならではの訥々とした悲しみが、程よく過剰にならずに歌として表現されているあたりはさすが。今をときめくピアニスト、清塚信也のナイスアシストも光る。
特筆しておきたいのは、この「AXIA~かなしいことり~」も、そして同じく収録されている「制服」も、ビッグアイドルであるオリジナルアーティストの代表曲ではなく、各々のファンコミュニティの中での名曲として扱われている楽曲であるのにもかかわらず、選曲され、そして見事にリビルドされている点。
あくまでもこのカヴァーアルバムは「楽曲ありき」なのだ。
2枚を通して全体的に温度が高くなり過ぎることがなく、心地よく聴くことが出来る良質なカヴァーアルバムだと言える。
思えばデビューアルバムもカヴァーアルバムだった上白石萌音。あのアルバムとこのアルバムとでは、コンセプトも、また、歌に対する思いも異なるのだろうけれども、いずれにせよ、数を重ねるにつれ、素敵なシンガーとなっているあたり、本当に目が離せないのであります。