KICK THE CAN CREWここにあり。
今作で聴くことのできるキックのこの現役感は、一体全体どこから来ているのだろうかなどと考えながら聴いた。
まずトラック。
KREVAソロでは味わえない攻撃性、いや、アグレッシヴで有機的なトラックが身体を否応なしに揺らしにかかる。かつてのキックよりも遙かに血が通っている感が強い。これがアルバム全体を駆け抜ける勢いに繋がっていることは間違いない。
MCはLITTLEの存在感が大きい。
以前のLITTLEも意外なる不良性とアイロニーを持った存在ではあったのだけれども、そこに声そのもののチャームが乗り、もはや無敵なMCではないかと。
3MCであることがキック最大の特徴と強みであることに否定する理由はない。そこに芯を通している、顔を作っている存在がLITTLEであったのだと、ここに来て再認識させられた。
トータルとしてかつてのキックが持っていたTOKYO的サウダージ感はそのままに、ソロ活動の間もユニットとしての体力は全く退化している要素がなく、格段に強靱にそしてしなやかな存在に成長していたのだと実感させられる内容だった。
今作はKICK THE CAN CREWをパーティユニットと誤解したままのかつてのアンチと、今に生きる若手ヒップホップアーティストを好むリスナーとに強くリコメンドしたい。生きるためのエナジーとしてのヒップホップを生み出している存在がここに再び立っているのだと。