終わらない音楽がここにはある。
ひたすらに曲の主題、主張とする部分をループさせては、刷り込みと飽きとをギリギリの均衡をもってコントロールしている節がある。「まだ終わらないのこれ?いつ終わるのこれ?まだやるのこれ?でもまだ終わらないで、もう少しだけ続けて!」と聴き手の中の音楽欲求におけるせめぎ合いを誘うとでも言えばよいかな。焦らしと快楽のツボをしっかりと押さえた音楽、と表現してもよいのかもしれない。
自分がポップスから微妙に離れていった理由の一つに、たった数分間に同じモチーフを何度も何度も繰り返し聴かされることの時間の無駄に気がついてしまったことが挙げられるのだけれども、一体私は何を言っていたのかと。それこそがポップスが果たすべき本懐の一つではないかと小一時間。
トラックメイキングが比較的ファットでマッチョである一方で、野宮真貴の線の細いボーカルが乗る、その大きなギャップもまた魅力的であり。ここにさらに肉感的なボーカルを乗せてしまったら、それは計算が出来ていない暑苦しさを導いてしまうだけなのだから。
このように、単に渋谷系を冷やかしながら俯瞰するつもりが、どっぷりと「自分と音楽の付き合い方」について考えさせられるサンプルばかりを抽出してしまっているな。
「渋谷系」再発見&探索、もう少し続くと思います。あえて王道しか聴きませんが。そこをディグすることが目的ではないので。