丈青の音の魔術から覚めやらぬうちに、気がつくと、本当に気がつくと畠山美由紀のDSD128(5.6MHz)までダウンロードしてしまっていた。自分、音楽に対する財布は底抜けだ。恐ろしい。
買ってしまった物は仕方がない、聴いてやろうじゃないかと気合いを入れて聴けば、これが思ったよりも断然軽い仕上がり。CDに比較して重厚感やらエア感やらという比較レベルではなく、これはこれで全く別の仕上がりになることを教えてくれた。「CDの上位」という考え方は捨てた方がいい。あくまでもマスターがDSD128なのだ。
軽い仕上がりになっている理由は、器がないも同然だからではないかと思っている。CDのようにしっかりとした器があれば、そこに音は収納せざるを得ないが、器がなければもうダダ漏れの状態になるのではないかと。その結果、音はエンジニアの好きなように配置する事ができ、ボーカルもセンター手前に立たせて、まるで目の前でつまめるかのような勢いで歌い上げる構図が出来上がる。
「普及型」ハイレゾリューションの最上位が現時点ではDSD128だと思っているけれども、その音はもしかしたらまだ形のない、決められた空気の中で音がフワフワと漂っているようなものなのかもしれない。聴き手も作り手も模索の音楽を作っているのではないだろうか。