音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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夕日信仰ヒガシズム / amazarashi (2014)

半ば惰性でレンタルしてきた作品だけれども、再生し始めて驚いた。なんだこの妙な攻撃性のある音楽は。amazarashiは中途半端な繊細さが一本調子に聞こえてきたので惰性で聴いていたのだけれども、この変化はちょっと面白い。

ここだけの話、amazarashiは『爆弾の作り方』(2010)、その中でも「夏を待っていました」が全てで、それ以上のものはもう出てこない「瞬間出涸らし」だと思っていたので、このアプローチは嬉しい変化。出だし2曲を飾る曲の歌詞がどことなく散文調になっているのは、この音楽性とのトレードオフか。

で、ロックに相当振れた楽曲が続いたと思ったら、ポエトリーリーディング。そして酷い世界をストーリーと共に歌った曲が来る。うん「amazarashiは大体こんな感じ」という匂いになってきた。それにしてもやはりロック調の曲がやって来る。

気がつけば真剣に歌詞カードを読みながら聴いている。もしかしたらしばらく彼の歌、歌詞を受け入れる余裕が自分になかったのかもしれない。今作は随分とスンナリと彼の言葉が入ってくる。それもなぜかしら自らの過去形として変換されて耳に入ってくる。こんな若気の至りでしか書けない歌が、自分の中に眠る若気の至りに変換されて届く。

あらら、秋田ひろむ、本当にかっこいいな。この人のボーカルスタイルをカッコいいと思ったのは初めてかもしれない。繰り返しになるけれども、言葉がスンナリと耳に入ってくる。今作はちょっとヤバい。いい感じにヤバい。敢えて「素晴らしい」とは言わない。ちょっとした毒を持ったヤバさがある。それともここ数作もこのような雰囲気だったのだろうか。いや、違うな。今までの作品と、一発目の届き方が全然違う。敢えて過去の作品を引っ張り出してくる必要はないな。これ一作をしばらく聴き込んでみよう。すぐ飽きるか、鑑賞に堪えうるか。