「うわぁ」と心がスタックして、思わず呆けながら聴いてしまった。
どうやらこの作品を4年ほど放置していたらしい。その気持ちは分からないこともない。吉村秀樹を亡くして数年。もうその存在に頼らなくてもよい日々がやってきていると思っていたのだから。
何気なくタブレットの画面をタップしてこのアルバムを選択し、再生させただけだったのだ。久しぶりに聴いてみようかという、単純な思いしかそこにはなかったのだ。
だと言うのに。
やられた。吉村秀樹の力は自分の中では何も衰えていなかった。まさかりを持って頭頂からザックリと斬りつけられた。聴いている間、とにかくじっとしていた。
それは暴力なのではなく、吉村秀樹ならではの挨拶と愛撫のようなものなのかもしれない。「よう、久しぶりだな」と頭を撫でてくるオジさんのような。そのような存在が、ただ、たまたま自分には巨大すぎるだけだったのだ。
まだまだ、吉村秀樹は自分の中で実在している。息を潜めて、その登場のタイミングをうかがっている。いつか自分を驚かしてやろうとじっとしている。
そして驚かされてしまったのだ。