音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 / ツィメルマン, ラトル, ロンドン交響楽団 (2021 96/24)

音が出た瞬間に驚いた。これが本当にLSOの音なのか?と。

正直なところ、ベルリン・フィルを振っていたラトルに対しては、クラシック音楽を聴けば聴くほど距離を置くようになっていた。何かが自分の好みのようなものと異なっていると気がついたからだ。

それがここで聴けるオーケストラ、指揮は、抱擁力十分の、非常に深く、豊かな音として鳴り響いている。かといって鈍重な要素も全く存在しない。ブリリアントという単純な言葉がしっくり来る演奏なのだ。まずはそこに驚かされた。

そしてツィメルマンのピアノ。

30年近くぶりのベートーヴェンは、弾力としなやかさを持って、より流麗に、そして十分な説得力を持ってピアノの音として伝えている。

これは面白いベートーヴェンになってきたぞと、心を踊らせながら聴いていた次第。

一気に全部聴いてしまおうかとも思ったけれども、それはあまりにももったいない。一つずつ噛みしめながら聴くべき音楽だよ、これは。

ベートーヴェン: ピアノ協奏曲全集(3UHQCD/MQA)