音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シルヴァー・ライニング・スイート / 上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット (2021 SHM-SACD)

音楽と言うツールを操ることができると、人は何者にでもなれるのだと、アルバムが終わった瞬間、頭の中をよぎった。

上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテットによる作品は、優美でダンディーで、そして自由闊達なものとして自分の元に届けられた。

ストリングスを加えての構成がどうなるのか、あえて先行曲も聴かずに予備知識無しで聴くに挑んだのだが、それは正解だった。既発曲も含め、完全に真新しい上原ひろみの世界がそこには繰り広げられていた。

弦とのブレンド。それはもしかすると上原ひろみの音だけを拾いたい耳にはやや物足りなく感じる向きもあるかもしれない。しかし、音が音と織りなすこの世界観は、唯一無二の、ジャズを超えたクラシカルクロスオーバーにも通じる扉を開き、そして解放してみせた。

息を呑むかのような音世界。緊張から解放に至る、そのジェットコースターのような音世界。このクインテットが展開する世界は目まぐるしくも、重厚で、そして軽やかで。

ライナーにも書かれていたように、音楽は翼を得て、音として羽ばたく。羽ばたいたその音が自分だけのものとして自分の耳に届けられる。それを贅沢と言わずして何と言う。

そのような贅沢な時間と音空間を得ることができる本作品を完成に導いてくれた全ての関係者各位に感謝の念を届けたい。

音楽は自由だ!

シルヴァー・ライニング・スイート (限定盤)(SHM/SUPER AUDIO CD)