アニメ『BLUE GIANT』を観てきました。
音楽をコミックで表現することは、絵と文字の組み合わせからそこに表現されている音を読み手が想像して進めることに委ねる要素が多いとは思うのですが、それをアニメーションとして起こすことは、楽曲が実在してくるために作り手としてのハードルは相当に高いものだったと思うのです。
作曲と劇伴を上原ひろみに担当させることによってそのハードルを飛び越え、見事に「ジャズアニメ」としての表現に成功していたように思えます。何よりも実演の「中の人」の音ではなく、観ているうちに「アニメの登場人物の音」として耳に届いてくる錯覚を味わえたほど。
アニメーションやストーリー展開そのものは、構成やアイディア、動きにおいて、音楽の表現に対してやや力負けしていたとも見て取れましたが、それを補っても余りある音楽表現で問題なしかと。
音楽の力はげに大きなものであると実感しながら帰りの途につきました。
帰宅後に映画のサントラを聴いているわけですが、なるほど映画で表現されるべく音であったのだと思うに至りました。
実は以前に一回聴いてあまりピンと来なかったのです。逆に言えば、それほどまでにサントラとしてパッケージが仕上がっている作品なのだとも言えるのでしょう。
総じて、アニメを観る心積もりよりも、ジャズを聴くために映画館に足を運ぶ、くらいの気持ちで挑むことで幸せになれる作品でした。