今年の最後はヘッドホンクレイジーで締めくくるようで。
TAGO STUDIO「T3-01」を購入してしまいました。バランスケーブルはまだ届かないので、プリメインアンプAccuphase E-480のヘッドホンアウトから、エージングなしにいきなり聴いてみますよ。
まずは宇多田ヒカルを聴いてみます。96/24音源で「travelling」を。
…なんだ?このプレゼンスの明快と明確さ。音の多くを伝えてくれるのに、混沌にならないバランスの良さ。分解能が相当に高いのに、音のブレンドが上手い。
出音の張り出し方にも間違いがない。各楽器、SEの配置も的確かつ明瞭。
アコースティック系はどうだろうか。
斉藤由貴『水響曲』より「卒業」を。こちらも96/24で。
ボーカル、ピアノ、ストリングスの位置関係が気持ち悪いほどにしっかりと耳の中に配置される。もちろん肝心かなめのボーカルの存在感がトラックの上にふわりと浮いているかのように配置されて表現される。
そして、このヘッドホン、密閉型…だよねぇ…。音場が広く、かつ潤いある音が鳴る。
ではロックでどうだ。B'z『Brotherhood』から「F・E・A・R」。下手な再生機器では高域キンキンお化けになる音源ですね。
エネルギーの塊が高い分解能を伴って耳に迫ってくるものだから、それはもう大迫力ですよ。ベースラインもゴリゴリとガッツリとボトムを固めている。こんな音がヘッドホンで出るのか。
どんどんと楽しくなってきましたよ。
次は相当に鳴らすためのハードルが高い、米津玄師『STRAY SHEEP』より「カンパネルラ」を48/24で。これはモコモコした音になりがちな音源ですね。
モコモコさは一切ないですね。その要因になる低域の厚さが中高域の邪魔をせず、厚いままにしっかりと表現され、上物のSE系の立体的音像もしっかりとその位置感を保って鳴らされる。
総じて分厚い音が出てきます。
続いてジャズはどうだ?
Diana Krall『Turn Up The Quiet』から「Isn't It Romantic」を192/24で。
ダイアナ・クラールの艶めかしいボーカルが、官能的に耳元で鳴りますよ。
ベースもブーミーにならず、上品に演奏を支える。ギターとピアノの存在感もリアリティを持った音として伝えてくれる。時折差し込まれるストリングスやビブラフォーンもビロードのごとく曲に華を添えていることがよく見て取れる。
最後の砦的に、クラシック音楽はどうだ。内田光子、サー・サイモン・ラトル、ベルリン・フィルによる『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番』から第1楽章を48/24で。
音に濁りが出ない。これは大きなアドバンテージ。音が濁らないために、楽器の層が立面的な音となり迫ってきます。パートそれぞれの音の立ち上がりの特徴がよく分かり、その一方で残響音がなくなる瞬間までもしっかりと音を伝えてくれる。
ピアノはそのタッチの差が目に見えるかのごとく伝わってくるほど。これは美しいものを美しく、力強いものを力強く伝えることの出来るヘッドホンではないかと。
まいったな、こりゃ。エージングなしでこの出音なのか。近い将来が楽しみ過ぎる。
今年最後の買い物がこのような良質のギアでよかった。終わり良ければ全てよしですよ。