音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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雨宮天リサイタル@Zepp DiverCity

【セットリスト】()内はオリジナル歌手
・喝采(ちあきなおみ)
・お祭りマンボ(美空ひばり)
・初恋(村下孝蔵)
・君は薔薇より美しい(布施明)
・イミテイション・ゴールド(山口百恵)
・難破船(中森明菜)
・シルエット・ロマンス(大橋純子)
・ぽつり、愛(雨宮天)
・あなたに逢いたくて ~Missing You~(松田聖子)
・六本木心中 (アン・ルイス)
・君はキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。 (中原めいこ)
・TRIGGER(雨宮天)

このセットリストを見て「一体どんなリサイタルだよ、それは?」とお思いでしょうが、そう言うリサイタルでした。

それでは身も蓋もありませんね。

雨宮天さんという声優さんがおりまして。

どのようなアニメに出演されているのかは全く存じませんが、大の昭和歌謡好き。好きが高じて昭和歌謡カヴァーアルバムをリリースしたり、さらに高じて歌謡曲マナーに則った自作曲を集めたEPまでリリースしてしまったと言う、かなりアレな、いや、自分にとっては神様のような声優さんであります。

その天さんの定例会的な歌謡曲カヴァーリサイタルが開かれると言うことで、半休を取って臨んだのです。土砂降りの中、お台場まで足を運び。

その結果のセトリが上記内容。とにかく泣く子も黙る有名曲ばかりをカヴァーした内容。

のっけからして「喝采」「お祭りマンボ」のたたみ掛け。歌唱力の女王、ちあきなおみに美空ひばりの名曲ですよ。よほど自分に自信があるか、もしくは単に好きなだけなのか。

その選曲の大胆さに初めは戸惑いましたが「その両方なのだろうな!」とすぐに思うに至り、それ以降、邪念を除けてとにかく楽しみまくってきました。

「リサイタルは一人カラオケ」と自虐的に語っていましたが、もちろんそのような範疇に収まるはずがなく。歌い終える度にオリジナル楽曲の推しポイントを解説し、「布教活動」と称して歌謡曲の偉大さをそれに馴染みの薄いオーディエンスに伝えていく姿勢がこれまた微笑ましく、またそのポイントの内容が的確で「そうだよね!そこだよね!」と、都度、大きく肯いていました。

楽曲が持つ既存の偉大さにリスペクトし、まるっと自分のものにしてしまう。なんと素晴らしいことか。音源として愛聴していた前述のアルバムへの理解が、さらにぐっと深まるリサイタルでした。

そして併せて思うに至ったのが以下のこと。

自分がリアルタイムで聴いていながらも、生でそれを拝むことが叶わなかったシンガーや楽曲たちを、今の時代にこのような形で、かつ愛あるカヴァーで聴ける。自分にとってこれほど素敵なことはありません。

「自分がこのリサイタルを観たかった理由はそこだったのか!」と独り合点していたのであります。

終演後、非常に満たされた気分のまま帰途に就きました。これを書いている今でも、寝るのがもったいないと感じているほど。とにかくこの余韻にどこまでも浸っていたい。そのように感じられる公演はそうそうありません。

このリサイタルは二年ごとに行われると言う話。次のこのコンセプトのリサイタルにも是非とも参戦したいと思わせる内容でありました。

極めて満足であります。