この演奏において、オーケストラを牽引しているのは指揮者であるジュリーニではなく、ミケランジェリのピアノなのではないかと思えた次第。
第一楽章の頭ではオーケストラにややむらっ気があるように感じられるのです。ところがピアノが入った瞬間からその全てがぐっと引き締まる。ピアノとオーケストラによるリレーと融合とが、そこから高いレベルで為され、最後まで維持されているようにも思えるほど。
それにしてもミケランジェリのため息が出てしまうような美しさと時折垣間見せる男性的力強さ、そのギャップに圧倒されるのであります。
これが1970年代の一つの金字塔なのだろうな。