「今だから」のCD化が自分にとっての主目的であり、それ以外には大して興味も持っていなかったのです。
そんな期待薄状態で聴き始めたものの、これが、まぁ、見事な「今」への換骨奪胎具合で素敵なコラボ作品として仕立て上げられていたのですよ。
一曲としてコラボ、マッシュアップアーティストのカラーが薄い曲はなく、ユーミンが築き上げた世界観をいかにして自分の土俵に持ってくるかに骨を折ったかがよく分かる内容に。
オリジナル楽曲に対しての変化、「ここを使うのか!」「これを付け加えるか!」と声を上げながら聴いておりました。もちろん松任谷由実の今の声は使っていません。ある種、大々的なボーカルサンプリングです。それであっても、ユーミンの声の存在感は大きく、コンポーザーとしてのその才はもちろんのこと、ボーカリストとしての絶対的な個性、耳に擦り込まれている特性には揺るぎないものがあるのだと強く認識させられました。
同時に松任谷正隆によるアレンジのカラーにも強靱なものがあると知らしめる結果に。今回のコラボアーティストがどれだけ自らのアイディアで染め直しを図ろうとも、耳にはオリジナルのあのアレンジが常について回るのです。
これは想像以上に面白い出来のアルバムですね。