音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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HURT / Syrup 16g (2014)

過去に何度か挑戦し、その都度挫折してきたSyrup 16g。今度こそはのリベンジで借りてきた再結成の新譜は、そのギターの壁が正に自分好みで、スピーカーの再生から速攻でヘッドホンに切り替えて聴きはじめた。

その昔は何かごにょごにょとやけに暗い、それこそどこか病んでいるか闇を持っている人間だけに訴えかけるような世界だったのが、今作ではサウンドも同様、一筋の光が遠くに差し込んでいるかのような、どこか希望の持てる世界観になっている。いや、基本的には暗いのだけれども。

それでも解散前の音源よりは確実に聴きやすくなっているし、開放的な部分も見え隠れしているあたり、とても聴きやすい。こういうバンドはありそうでなかった、いや、もしかしたら解散前のSyrup 16gが手をつけていたから、誰も手を出さなかったのか。そのストレートなのだけれども、歪曲している世界にズルズルと引きずり込まれた。それでいて、暗澹たる物が最後に残ることなく、ギターサウンドの美味しいところを楽しめたぞ、というこのバンドに似合わない、非常に晴れやかな気分になれた。

それだけでもこのバンドが変わらずして生まれ変わったと言うことができるのかもしれない。今後の愛聴盤になりそうな1枚。今作に関しては食わず嫌いを起こさないでよかった。