音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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2020撰

これを書いている現時点、2020年も残すところあと9時間強。個人的にも地球規模でも様々なことがありましたが、ここでは音楽のみに焦点を当てましょう。

今年の僕の10枚(セット)です。1年間で400セット強にかぶりつきました。まだ食べきっていない作品もありますが、まるっと食した作品から10枚をピックアップ。順不同。


Frontiers / DEZOLVE / 24bit
日本フュージョン界を背負って立つ若手グループのメジャー3作目。メロディとキメのバランスの良さ、そして抜群にテクニカルな演奏と、フュージョンに取り組む真摯なスタイルが、その楽曲群に鮮やかに表現されていた。


シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」 / ホリガー, バーゼル室内管弦楽団 / CD-DA
ホリガーによるこのシューベルトティクルスによって、自分のクラシックに対する姿勢にまた一つ新しいものが加えられた。クラシック音楽とは作曲家単体で聴いてもよいが、歴史的な流れの中で捉えることによって、大局がつかめることを教えられた。


Bach - Imagine / Jean Rondeau / 24bit
ジャン・ロンドーによる一連のハープシコード作品は、これまでになかったような夏の体力と精神の滅入りにおいて、清涼剤として自分の中に吹き込んできた。どの作品にも的確な考察と即興とが明示されていた。



シベリウス:交響曲全集・管弦楽曲集 / コリン・デイヴィス, ボストン交響楽団 / SACD
コリン・デイヴィスによるシベリウスに対する疑問が一気に氷解し、そして瞬時に魅了されてしまった作品群。70年代録音の重厚さと、古びる要素が一切存在しない艶やかな演奏が、シベリウスを解釈する際の新たなテキストとして目の前に現われてくれた。


STRAY SHEEP / 米津玄師 / 24bit
J-POPの王道として、この作品をピックアップしないわけには行かない。ポップスとしての普遍性、そして難解さ。それらを全て取り込んで、かつ、売れる作品に仕上げた手腕はお見事の一言。全てにおいて、現時点での売れ線ポップスの最高峰。


note / 上白石萌音 / 24bit
米津玄師と並んで、今年の自分にとってのJ-POPを語る上では外せない作品。それまでのはかないボーカルイメージを打ち破って、力強い楽曲から、多くの人の琴線に触れるだろう楽曲まで、その幅広いボーカリゼーションによる演技力が見事な作品。


All Rise / Gregory Porter / 24bit
ジャズにカテゴライズされているが、これはまごうことなくソウルミュージック。人種問題に対して多くの問題提起がなされたこの2020年に、力強く歌い上げるメッセージを持った作品として世に問うたその存在意義には計り知れないものがある。


Blue Hearts / Bob Mould / CD-DA
人種問題は宗教的問題にも発展し、かつ、人間としての生きる権利を主張する場面が世界中で見受けられたこの1年。ボブおじさんも怒り心頭であったか、ネガティヴな勢いを濾過することなくロックギターに落とし込んだ、そのヴェテランとして手腕に喝采を。


Creme de la Creme / T-SQUARE / 24bit
メンバーの闘病による脱退。その置き手紙としてファンにプレゼントされた素敵なセルフカヴァーアルバム。楽曲の持つオリジナリティはそのままに、優しさというスパイスをふりかけて提示された楽曲群が、不思議と胸を打つ演奏として響いてきた。


Bruckner: Symphony No. 4 / ネルソンス, ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 / 24bit
今年最後の最後に飛び込んできた最新型ブルックナー。巨大な人工建造物としてのブルックナーの、その細部にまで穿ってフォーカスを当てた演奏は、聴き手の目の前に見事なテクスチャとして音像を築き上げてくれた。


以上、今年は10枚を迷いなく撰出することが出来ました。

来年もまたいい音楽との出逢いがありますように。