音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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ブルックナー:交響曲第9番 / ヴァント, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1998/2019 SACD)

ようやく今週末のクラシックタイム。時間もないので、まずは大作から行きましょう。

と言うことで、ヴァントとベルリンフィルによるブルックナー。ブルックナーとしてもあまり聴いた記憶のない第9番を行ってみることにした。

実にこれが聴きやすいブルックナー。演奏は端正にして淡麗。フルオケであるのにもかかわらず、スッキリと音が見通せる。その辺はデジタルレコーディングのDSDリマスタ効果が発揮されているからかしら。残響音がオケを包み込んでしまうようなこともなく、ホールのリッチ感をしっかりとオケとは別物として伝えてくれる。

楽曲としても、メロディではなく音の塊としての抑揚で聴かせるブルックナーならではの作り。滔々と流れる大河のような楽曲。緩やかに、でも大きな流れ。こんな感じでブルックナーはとことんブルックナーであることを貫いているように思えるのだけれども、まぁ、まだ交響曲を全て聴いたわけではないので、そこの結論は急がないことにする。

さて、ベルリンフィルはどうも指揮者によって大きく音の作りが左右されてしまうようで、ラトルのそれは自分にとっては相当にウェットに届くし、ヴァントのこれはストレートにダイナミズムが伝えられる。アバドは雰囲気で魅せるタイプかな。

うん。やっぱり週末にはクラシックに耳を通す時間が必要だ。大きな何かが得られて、そして何かが洗い流される。耳の中身を入れ替えて、心の澱を上手く沈める儀式なのだな、これは。