今年「なんかいいな」と思いながらも再生回数を重ねきれなかった1枚。
川谷絵音はゲスの極み乙女。でのそれよりも、絶対にこのバンドでの活動の方が、センチメンタリズムの側面で遙かに切ないものを引き出せる人なのだよね。
詞の世界もメロディの切なさも、バンドとしてのアレンジメントのアイディアも、このバンドがやりたくて音楽をやっているように見えて仕方がないのですよ。
これまではそのコアになる部分に若干のブレがあって、アルバムとして聴いた際に「あともう一つ突き抜ければ完璧なのに」と歯がゆさを抱えていたのだけれども、今作ではそこがしっかりと固められて提供されたものだから「そう、これが欲しかった」と素直に肯ける作品に仕上がったと思っております。
歌の世界観は狭いかもしれないけれども、それを求めるバンドではないし、川谷絵音の等身大を描いていることに興味を覚える作風なのであります。
2019年の「いい作品」の中の1枚でありました。