あれはいつの話だっただろうか。
当時かかっていた医師に「Satoさん、自分から落ちるの好きでしょう」と指摘されたことがあった。そう。自分で自分の中を見つめて、どんどんと深みにはまっていくのだよね。
よりによって、こんな中年になってからそれをぶり返してしまうなんて。そんなSatoさんはもういなくなっていたと思っていたのに。
それでも、当時と今とでは決定的に異なる点がある。
それは「死」を身近なものとして捉えているか否か。当時は常に頭の中に「死」をチラつかせていた。希死念慮は友だちだった。
叔父が先に自ら命を絶ったのを見て後に、「死」は自分から遠く離れた存在になった。
今では「死」は考えない。ただ深く沈んでいく様を、以前よりもより客観的に見つめているだけ。そしていつかは必ずそこから浮上できることを知っている。それだけの強さはある。
いまは弱っているけれども、大丈夫。