音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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マーラー:交響曲第5番 / ジンマン, チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 (2007/2011 SACD)

早々に寝落ちをした夜は、早々に目が覚める。

本日解禁の坂本真綾の新譜を軽く聴き流しているうちに、頭の中にマーラーの5番が鳴り響いた。

どの演奏を聴こうかとしばし考えた後に、ジンマン指揮、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のそれにすることに。

マーラーに必須とされがちな圧倒的な画力、筆圧とはまた異なる演奏ではあるけれども、端正さと美しさで魅せてくれる。曲線美的なマーラーとでも言えばいいか。もっと乱暴に表現するなら「暑苦しくない」。

演奏は当然のように緻密に編み上げられているが、緩急の付け方が自然体に感じられる。息苦しさが薄いのもこの演奏の特色か。

例えばテンシュテットのマーラーは人を凄惨なる死の世界観へと導く演奏だと思っているが、このマーラーは天上世界、宗教的天井画に描かれる、ふくよかなる世界へと導くそれだと思えるのだ。