音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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あまざらし 千分の一夜物語 スターライト / amazarashi (2015 MP3)

アコースティック解釈による新録音アルバム。とはいえ、結構なボリュームの楽器が鳴っているのも事実。ただしそれは、楽曲をドラマティックに演出するのに十分に一役買っている。そのような中で、既存のトラックとは異なり、秋田ひろむの鋼のような無機質さを持ち、かつエモーショナルであるという二律背反なボーカルが思いきり前面にクローズアップされていて、何とも聴き応えのある作品に仕上がっている感あり。

個人的には初期の作品がたっぷりとピックアップされている辺りが嬉しかったりする次第。特に「夏を待っていました」の再構築には驚いたどころか、よりこの曲の世界観を伝えるアレンジに生まれ変わっているのではないかとまで思ったくらい。その他「隅田川」「無題」辺りも非常にグッと来る。それはあくまでも主観的な話ではあるけれども、秋田ひろむの歌詞は映像的なコラージュなのだよね。そのコラージュが成功している楽曲がうまいこと集められていて、これじゃ普通のベスト盤を今後リリースするのは容易ではない(受け入れるのも容易ではない)な、などと思った次第。

amazarashiの入口としても機能する作品となっているのでは?うかつなヘビーローテーションなど許さないほどの筆圧が十二分に感じられる再録盤として。