音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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ブラームス:交響曲第4番 / セル, クリーヴランド管弦楽団 (1966/2017 SACD)

そのリリース当初からなんとなく気にはなっていた。セル&クリーヴランド管のブラームス、そのSACD化。

この組み合わせでのブルックナーに感銘していた自分としては、聴いてはみたいものの価格が高いことがネックになって、結局買わずにそしてつい最近までその存在は忘却の彼方にあった。

たまたまAmazonの中をフラフラしていたところに、まさかの再会。それも大きなディスカウントとたまたま保有していたクーポンを使うことで、入手に踏み切った。何かしらの予感はあったのだろう。

そして、つい先ほど、第4番を聴き終えた。冒頭から音の消える瞬間まで、ただひたすらその音のとりこになっていた。いや、されていた。

なんと目の醒めるようなブラームスか!

統率の取れた軍隊であるかのような行進を見せつけられたかと思うと、春風の中駆け抜ける若き駿馬の運んできた薫りにも似た爽やかさを感じる瞬間もある。

全体として朗々と自信を持って演奏されている様は、正に痛快の一言。

これほどまでに重厚かつ甘露なブラームスを、僕はこれまで一度も聴いたことがなかったのだ。

1960年代と言う、自分にとってはモニタか書物の向う側にある歴史でしかない時代に、これほどまでに現代に訴えかける演奏がなされていたとは、にわかには信じがたい。しかし、いや、これはもう記録されていた音として体験してしまったことなのだ。歴史は事実であった。恐るべし1960年代の指揮者と演奏家よ。

この20世紀半ばの記録物をもって、21世紀も成熟し始めた今に追体験出来ると言う、その技術の進化の素晴らしさにも拍手を送りたい。

演奏が終わった瞬間、一瞬息が止まった。それは1960年代のその演奏に対するスピリットと、2010年代も終わろうとする時期のその技術との融合に対する賞賛と驚きが重なった瞬間に立ち会ったからに他ならない。

これは自分のブラームス観を変える、大きな出来事になった。ここまで書いてもまだ興奮は冷めやらない。とんでもない音世界に自分は放り込まれてしまったのだから。

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