ボブおじさん、伝家の宝刀を抜いたな。
SUGAR時代から通して『BEASTER』がボブ・モウルドの真骨頂だとずっと思っていたのです。
宗教ソングに怒りを重ねて、暴力的かつ殺人的にギターをかき鳴らすそのサウンドこそがこの人の本質を語っていると。
今作はその本質の塊。一分の隙なくみっしりと単語で埋めつくされた歌詞カードからして、狂気のようなものまで感じさせるのです。一転して穏やかな表情を浮かべるボブおじさんのポートレートとの、そのギャップにも同様の匂いを。
ギターも怒り狂っていれば、ボーカルもまた石つぶてを投げつけられているかのような痛みを伴う感覚に。十字架を背負っているのはボブおじさんではなく、リスナー側ではないかと思わせるほどの勢い。
『SILVER AGE』からのボブおじさんは、とにかくロックに突っ走ってくれているのだけれども、それが前作のとにかく明るいロックと、今作のとにかく怒り狂ったロックとで再び頂点に達した感が。
傑作と言っていいでしょう。このギターとボーカルに何も感じないロックマニアは全然ロックじゃねぇよ。
参考までに。SUGAR『BEASTER』(1993)。