心が動かない状態でこのまま一日を終わらせてしまうのも本意ではない。
そう思いながらCDラックをなぞっていけば、このディスクで指が止まった。あまり聴き込んでいない、ツィメルマンのラフマニノフ。第2番を、それほど期待せずにヘッドホンにて鑑賞。
ツィメルマンのピアノを聴いて心が動かないわけがない。繊細さと力強さとが共存した演奏にじっくりと耳を傾け、その音世界に浸ることで、心の中に何かが湧いてくるような気分を覚えた。
自分は音楽の力を信じている一方で、必ずしも力を持つ音楽だけが全てだとは思ってはいない。
それでも正へと導く力であったり、負へと導く力であったりと、なにかしらの効力が潜んでいるのが音楽であることは間違いない。
20時前にして、ようやく自分の中の何かが動き出したような感覚。それでも調子に乗り過ぎることなく、適度なところで切り上げます。
それまではあともう少し、せめて今日という日を何か負に埋もれさせることのないような悪あがきを。