音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

JIMSAKU BEYOND / JIMSAKU (2021 96/24)

大人による大人のための、素敵と形容するにふさわしい作品。

思い起こせば2年前。「倦怠感」と言う非常に曖昧な病名が書かれた診断書を会社に提出して、2ヶ月ほど床に伏せっていた時期があった。

その時に唐突にJIMSAKUの存在を思い出し、それから間もなく旧作を揃え、時折引っ張り出しては聴くと言う音楽生活を送っていた。

そして2年が経ち、あれよあれよという間に、JIMSAKUのまさかの新作がリリースされた。蓋を開けてみるまで判断は避けるとの思いから、試聴音源を聴くのも最小限にとどめ、そして発売日という今日の日に臨み、そして。

なんて力の入った、そして力の抜けたアルバムなのだろう。

緊迫感とリラックス、2人だけの世界と、ゲストを迎えた世界。二律背反が一つところに収まり、パッケージされることで、非常に色彩豊かな作品となって手元に届けられた。

過去のJIMSAKU作品との比較などはどうでもいいこと。今のJIMSAKUが、今に何を求めたか。純粋に音楽の楽しさと美しさを求めたのではなかろうか。

テクニックを持った2人の大人が、お互い本気でじゃれ合うような楽曲の楽しさ。ゲストを迎えることでカラフルな世界として作り出された美しさ。

聴き始め、終わってしまうとあまりにもあっけない、その短い時間が、人生の彩りに変わる、変えるのもまた、音楽の持つ魔術。その魔術を駆使して届けられた音楽の世界はあまりにも素敵だ。

ここにあるのは心躍る音楽。JIMSAKUと言う、かつてはテクニック重視のスピンアウトとも捉えられていた存在が、これだけの長い時を経て、人の心に入り込む、染みこむ音楽を作り出す存在となった。

生きててよかった、音楽を聴き続けてよかったと思える瞬間は、このような多幸感あふれる音楽に出逢った時にこそ、その本当の輝きを見せるのだろう。

JIMSAKU BEYOND(通常盤)