音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

ポータブルオーディオをやめた日

思えば2014年。オーディオの師匠様に貸してもらったハイレゾ対応ウォークマンが、自分がその後7年間、ポータプルオーディオにのめり込むきっかけとなったのだ。

ハイレゾと言う新しい音楽ファイル規格の素晴らしさの虜になった自分は、その後、5台のデジタルオーディオプレーヤーと数え切れないほどのイヤホン、イヤホン用リケーブルを乗り換えながら今年2021年に至ることとなった。

そして行き着いたところで待っていたのは、これ以上を望んでも何もないと言う虚無感だった。

据置きオーディオのようにバリエーション豊か、かつ細かに音を追い込むことができるほどでもなく、そしてこれまでポータブルオーディオにかけてきたお金で、据置きオーディオをより良いものにできていたはずなのだ。

完全ワイヤレスイヤホンにおける急速な音質の向上もまた、自分がポータブルオーディオから離れるきっかけとしては十分なことだった。

スマートフォンと完全ワイヤレスイヤホンの組み合わせで、外出時の音楽は質、量ともに十二分にまかなえるレベルにまで達し、またそれを潔しとした自分がここにいるのだ。

このある種のしがらみから解放された自分は、肩の荷が下りたかのような気分になっていた。余計なものを背負い込んでいたことに対する疑問。そのようなものがストンとなくなっていた。

ポータブルオーディオ生活は確かに楽しいものだったが、結果として何も残らなかった。いや、正確にはポータブルオーディオの音質に素直に感動出来るレベルに達する頃には、先に述べたスマートフォンと完全ワイヤレスイヤホンとの組み合わせが、利便性という点において凌駕していたのだ。

なんたる皮肉だろう。利便性と言う技術の進歩が、音質と言う技術の進歩を追い越してしまい、そして自分もそこに見事に飲み込まれたのだ。

後ろ髪引かれることなくポータブルオーディオの世界から去ること。

それが自分にとってのベストウェイであると判断し、手元に残ったポータブルオーディオ関連の機材を全て売り払った。7年分の総決算的断捨離。

ありがとう、ポータブルオーディオ。興味深い世界を見せてもらったよ。